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戦争反対!派兵反対!選挙に行き、意志表示をしましょう!

2003年11月9日の第43回衆議院議員選挙の前に、工房日誌に掲載。

私は、選挙権を得てから20数年、国政選挙・地方選挙を問わず、一度も棄権したことはありません。積極的な支持政党があるわけではありません。逆に、絶対に投票しないという基準はあります。侵略戦争を肯定し、いかなる理由があれ軍備拡張を主張する候補者・政党には決して投票しません。候補者が安保問題・憲法問題で態度を明確にしない人間ばかりの時は、そうした候補者しか立候補しない、させない事の抗議を込めて大塩平八郎、とか田中正造と書いてきました。

私は、自分が意気地なしのため、絶対に戦争には行きたくないと思っていました。人を殺すのは嫌だし、まして殺されたくなどありません。今は、もう徴兵されるような歳でもなくなりましたが、若い人に戦争に行って欲しくありません。もし、私の無関心や無作為の公認によって、再び日本がそんな国になる事を望みません。時代錯誤と言われようが、平和ボケと言われようが、私は非武装・中立の理想と、戦争放棄・軍備不保持の憲法の理念をどこまでも支持します。

私は、日本国憲法の第九条と前文を、とても美しい文章だと思います。そこには、戦争で亡くなったたくさんの人の無念と、生き延びた人の後悔と反省、そこから生まれた平和な世界への理想とそれを目標に進んでいこうという意志が感じられます。憲法の改正を主張するなら、それに代わる理想を、同じように美しい説得力のある言葉で語ってください。私が若いころ、政権を持った人たちは自衛隊は戦力に当たらない、だから憲法違反ではないと主張していました。その頃の防衛大臣の息子で恥知らずの小泉純一郎は、自衛隊は誰が見ても軍隊だ、たから実体にそぐわない憲法を代えると言っています。これを無定見と言わずして何と言いましょう。こんな人の手によって、日本の若い軍人が再び武器を持って海外に出ていくと思うと悔しくてたまりません。小泉、そんなに戦争がしたければ、ブッシュに良い顔がしたければ、お前が先に行け。それが、無理だと言うなら、自分の息子を、ふやけたタレントなどさせずに、説得して自衛隊に入隊させて連れていけ。そこまでするなら、せめてあなたのの主張を認めてやる。

子供の頃、神風攻撃隊で出撃していく若いお兄さんたちが、笑いながら水杯を交し、手を振って出撃していくフィルムを観て不思議な気持になりました。不思議な気持になったのは、これから待ち受けている現実、自分の肉を砕くために飛んでくる砲弾の中での阿鼻叫喚、そして確実な死を前にして、なぜ笑っているのか。そして、こんな作戦を考えて命令している軍の偉い人達が、なぜ自分達から先に行かないのか。なぜ、オッサン達や年寄りではなく、若い人が死ぬための作戦に出ていくのか。その気持は、今も変りません。

日本が、中国の東北地方で戦争を始めたのは、1931年です。神風や無謀な戦争で死んでいった20代前半の若い人たちは、そこ頃まだ10才にもなっていなかった事になります。少なくとも、自分の生まれた国が、こんな野蛮で無謀な戦争をする国になってしまったことに何の責任もありません。責任があるのは、ジジイ、ババア、オッサン、オバサンだ。


もちろん、私は戦争に行った事はありません。自分に銃口が向けられたり、空から爆弾が降ってくる恐怖を味わった事もありません。ただ、学生の頃、デモのたびに機動隊の軍靴のような固い靴で蹴られ、鉄の入ったような固い甲の拳で殴られていました。ジュラルミンの盾で、鼻を砕かれた事もあります。ある闘争で、機動隊員のかまえる催涙ガス弾が一斉にこちらに向けて構えられた時の、恐怖を通り越したおぞましい感覚は、今も忘れる事は出来ません。なんと言うか、あの人たちと私たちは、もう同じ空気を吸う人間同士ではなくなったような絶望感のようなものでしょうか。

もう時効ですが、その中で私もゲバ棒で人を打ちました。肉がひしげ骨が軋むような鈍い感覚が今も右手に残っています。厚いアクリルの向うの、その若い隊員の恐怖でひしゃげたような顔も記憶にあります。彼には、栄養不良の痩せたこの意気地無しが、鬼か修羅のように見えていたことでしょう。おぞましい記憶です。人と人があやめ合うというのは、本当におぞましい事です。まして戦争というのは、どんな美辞麗句を並べても、人を殺すことが目的です。アメリカが意図的に流しているような、無機的なテレビゲームのようなものではない事くらいは、分かります。


もし、日本の自衛隊の若い人がイラクで死んだら、また逆にイラクの人を殺す事があれば、私たちはかつてのオッサン、オバサンと同じ過ちを犯すことになります。自衛隊の海外派兵を主張する政党や候補者に投票する人は、まず自分が武器を持って、イラクへ行ってください。それか、自分の子供や孫を志願させて、そこで死んでもかまわないと思う人だけが、そうした連中に投票してください。棄権する人は、無定見と浮わついた言葉だけの国の指導者のもとで、進んでいるとんでもない事実を、黙って認めているんだと思ってください。

結局、私もかつて若い人を戦争にやって殺すような国にしてしまった大人の仲間入りをしてしまったような絶望感を感じています。しかし、どういう選択をするにせよ、最低投票には行き、あのとき自分はこういう意思表示をしたと責任を持って言えるようにしましょう。

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日本国憲法

2

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

3

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

4

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】

1

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2

前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

2003年11月6日

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